名前 ガラテアさん  
 
補足
カジュが飛んで行った先は、ゲオルグさんのログハウスの前でした。
カジュが、くちばしでドアをノックをすると、ゲオルグさんが出迎えてくださいました。
 
彼は半袖の白シャツにベージュのチノパン姿。
リビングに案内されると、以前になかった応接セットがあり、
ソファーに座るように促されました。
 
私は「すぐにハイヤーさんの元に案内して欲しいな」と思いましたが、
テーブルにお茶を用意してくださっていたので、カジュと共においしく頂きました。
 
その後再度「案内して欲しい」とお願いすると、
ゲオルグさんは、紺のジャケットを着て帽子をかぶり林の中に向かいました。
 
ゆるい坂道を上がると、山肌にそった階段があり、そこを登ると開けた空き地に出ました。
その先には、S F 風の人口の洞窟の入口があり、その天井までの高さは 3mほどで、
道幅は大変広いものでした。

 
中の道は少し右側にカーブし、左右に別れる 岐路が…
遠くに灯りが感じられる左に向かいました。
その先に行くとロケット発射台みたいな広場に出ました。
 
その真中あったのは、綺羅びやかな塔。遥か上空に向かってそびえる塔の外壁は
女性のドレスを飾るスパンコールや青いイルミネーションで飾られている
クリスマスツリーのような印象が来ます。(絵には描けません)
 
あまりに巨大で 威風堂々としていたので、
ゲオルグさんに「この塔自体がハイヤーさんですか?」 と聞くとNOとお答えを頂きました。
 
この塔にはエレベーターが付いていて、
その中も 銀色の鱗のようなスパンコールで覆われキラキラしていました。
 
エレベーターの 上昇レバーをゲオルグさんがぐっと下ろすと、ギューンと一気に最上階に到着。
ガコンとドアが開くとそこは展望フロアでした。
そこから見える風景は地球の ゆるく丸い輪郭がみえ…
地形は世界地図みたいに小さな大地が望めました。
 
「宇宙ステーションからの眺め?!このフロアにハイヤーさんがいらっしゃるんですか?」と
お聞きすると、まだ上を差し示されました。
 
彼が案内してくださった先は、展望フロアにある非常階段。
そこを昇ると、完全にむき出しの宇宙に接した屋上が開けていました。
 
「今度こそ…ハイヤーさん出てきてくださるかしら
(結構長い旅路だったので(笑)」ボーっと宇宙の虚空を眺めていますと、
遠くにピカっと光る星が現れ、その星がティンカーベル(妖精)のように、私達の方に流れてきました。

 
チカチカした瞬く光はゲオルグさんの肩の周りを巡り、
受け取るように差し出された彼の手のあたりで浮遊しています。
 
「その小さな光がハイヤーさんですか?」と質問いたしましたら、
ゲオルグさんもカジュもYESとうなずきました。
 
「人の姿になっていただけませんか?」とお願いすると、
大きく輝きが増し、空中に女性の姿が立ち上がりました。
裾が炎のようにゆらめき、足先は見えません。
 
ゲオルグさんは 西洋の男性が女性をエスコートする時ように、
宙に浮いた彼女の手を取り、傍に立っておられます。

 
私はハイヤーさんにご挨拶をし、顔をスケッチしにかかりました。
物柔らかな女神のような ハイヤーさんは少女のようでもあり、
反対に成熟した落ち着きも感じます。
 
タロットカードの 「女帝」や、
歳を重ねポチャリしてから…大人の優しさをまとった松坂慶子さんを思い出させました。

現実でスケッチしている途中、インナースペースに目を戻しますと
ハイヤーさんが、シュっと消えてしまわれたので、私は驚いて
「ハイヤーさんはどこに おられるんですか?!」とゲオルグさんに聞くと、
彼は屋上にあった望遠鏡を覗きこみ、宇宙の遠くの方を指差しました
(すでにかなり遠くにいってしまわれたようです)。
 
そんな感じで一回目の訪問ではお名前までは聞けず、
スケッチもあまり出来なかったことでがっかりする私に、
ゲオルグさんは「お疲れさま」という感じに、
頭をなでてくださいました(カジュもなでてもらっていました)
 
二回目の訪問の時は、ゲオルグさんは同じ服装でしたが、
上着を肩に掛け紙タバコをふかしながら、
カジュを小脇に抱えた格好という、ラフな雰囲気でハイヤーさんのところへ。
 
また一回目と同じ道のりを短縮した形で行き、
塔に昇るエレベーター前でタバコを灰皿に捨て、
今回はエレベーターに乗ると一気に 宇宙に接した屋上に着きました。
 
そこでゲオルグさんは、肩に引っ掛けていた上着を頭の上でグルグル回し、
ハイヤーさんに「来たよ」の合図を送っているようでした。
 
すると、宇宙をジグザグと飛ぶ流星がやってきたと思ったら、
薔薇色の大きな炎が私達の目の前に現れ、すぐに人の姿になりました。
 
ゲオルグさんは、また彼女の手を持ってエスコートなさっていたのですが 
私がスケッチしているうちにハイヤーさんは、じっとしていられなくなったようで、
ジグザグに宇宙の方に飛んでいってしまわれました!
 
「あれゲオルグさんまで居ない!?連れて行かれちゃたの?」と
カジュにハイヤーさんの後を追ってもらいました。
 
カジュも光速なので、追いつけはしたのですが
(イラスト右下のゲオルグさんが気の毒な図)
 
追いついたカジュを更に追い抜く早さでハイヤーさんは飛んでいかれました!
かなりのデットヒートの末、ハイヤーさんはある地点で停止なさいました。
 
輝かしいハイヤーさんの姿に見とれながらも(右の全身イラスト)
ハイヤーさんの手にはゲオルクさんが握られていないことに気が付きました。
 
「彼はどこに?!」と思ったらシャボン玉みたいな中で膝を抱えて
塔の屋上に送り返されている映像がみえてきて一安心です。
 
彼女の服を詳しく見せていただくと、やはり先ほどの塔と似た色使いと
スパンコールのキラキラさが感じられました。
私の描けるところまで落として描くと人魚っぽいのですが、
鱗に見えるところは素晴らしい煌きで、人魚ではないとは思われます。
 
冠は銀で、額のところには蕾の蓮があります。
全身のスケッチが終わったので、「ゲオルグさんも待っていますし、
塔の所にかえりませんか?」とお誘いしました。
 
彼女は首をNOと振り「私を留めおくところはない」とおっしゃいました。
「ではあの塔はハイヤーさんの観測所というところでしょうか?」とお聞きすると、
「そうよv」とニパッと小さな幼児のような無邪気な笑いをなさいました。
 
ガラテアさんのお名前は、「ガ」という音をヒントできました。
ギリシャ神話ではかなり有名なニンフ(海の妖精)の名前だったので
「この名前で本当にいいのですか?」とお聞きしましたら…
「今はそれでいい」とハイヤーさんがおっしゃいました。
 
塔に戻ると、ゲオルグさんがデパートの買い物に付き合わされたお父さんみたいに座り、
タバコをくゆらせながら待っていてくださっていました(笑)。