名前  マフムードさん 
 
年齢  14歳
 
国籍  オスマン帝国内シリア・ガリラヤ湖沿岸の村
 
身長 自称160cm(実は159cm…大人になってもこの身長
    だったので、コンプレックスだったそうです)
職業 地元では魚師 大人になって船乗り
 
前世バージョン  ○ 
 
補足
くるくる回転しながら飛んでいったカジュが降り立ったのは、
砂漠か砂浜を思わせるサラサラとした砂の上でした。
 
遠くに水平線があり、それがカジュの居る砂地より少し下に沈み込んで
見えたので、ここはすこし小高いところなのかもと思いました。
 
砂の所を 少し早足で歩いていたカジュが、おもむろに飛び立ち
海と思われる所へ 飛んでいきました。岸の傍には
階段状に石造りの家々が立てられていて 集落を形成しています。
 
その時「死海あたり」という情報が流れてきました。
「死海って地中海近くギリシャ側ではない…確かアラビアとかイスラエル側だったはず」
 
うろ覚えの知識を脳内で検索しているとカジュが海の上に出る映像が…
海の真ん中には、小さなボートの上で網を持ち、魚を釣っている少年がいました。
 
カジュはボートのへりに着地。
「インナーさんですか?」彼は頷き、満面の笑みで私達を迎えてくれました。
 
紺のシャツにベージュのズボンという簡素な服装。
焼けた肌がこの土地の陽射しの強さを物語っています。
 
なぜ魚を釣っていたのかをお聞きすると家業だということでした。
家族構成を聞くと、彼のお父様とお母様は早くに亡くなっていて
魚師である祖父母の家で育てられました。
 
ご兄弟は、お姉様と弟さんの三人兄弟。
お姉様は彼がこの年令の時には、もうお嫁にいって既に家を出ていたとのことでした。
 
彼もこのままずっと魚師をなさっていたわけでなく
大人になると故郷を出て、イギリスの輸送船の船員になったというお話でした。
(日本に行かれたかをお聞きしてみると、憧れていたけど 行ったことはないそうです)
 
私が少し現実でスケッチをしている時に カジュとインナーさんは
2人で海岸に降り立ち、かけっこをしていました。
 
船員になったということは「泳ぎが得意なのですね」と私が言ったからか
「走りも早いんだよ!」と見せてくださったみたいです。

一度目の訪問を終え やって来た情報から、
インナーさんが住んでいたところの特定にかかりました。
 
まず最大の疑問は、死海に魚が住めたかどうか…
やはり死海はその名のとおり、塩分濃度が高く魚は住めませんでした。
 
彼がそのあたりに住んでいることは確かみたいなので
インナーさんに聞きながらお調べし、死海の北にあるガリラヤ湖を知りました。
 
ネットで画像をみても海みたいに広く、伝統的には「ガリラヤの海」など
「海」と呼ばれることもあったそうです。純粋な淡水湖で沢山魚がとれます。
 
ガリラヤ湖は世界で2番めに標高が低い地にありました(1番は死海)。
それで…カジュが初めに降り立った所が小高い丘に感じたのだと判りました。
 
更に調べていくと、ガリラヤ湖はキリスト教徒の間では、
とても有名な湖らしく聖書に出てくる伝説が残る地でした。
 
湖の西にはイエスの生誕地ナザレがあり、イエスの弟子ペテロはガリラヤ湖で魚師です。
現在の観光情報がすべてキリスト、キリストしていたので
 
インナーさんにも一応「キリスト教徒ですか?」とお聞きしてみたのですが
ムスリム(イスラム教徒)だと言われました。
 
彼が生きていた17世紀、この辺りはシリアと呼ばれ
オスマン帝国が治めていた地でした。その筆頭の宗教がイスラム教です。
 
2度目に伺った時のカジュ (ちびかじゅ)が珍しく
全体的にふくれ巨大化していた日でした。(全長2m〜4mくらい)
 
彼はまた湖上でボートに乗り、仰向けに寝てゆったり昼寝をしていました。
怪鳥と言っても おかしくない大きなカジュが来たのですが
インナーさんはあまり驚いた顔も見せず 私達に笑顔で手を振り、
その後カジュの背に乗ったり自身で泳いだりして遊んでおられました。
 
三度目に伺った時、彼のボートに近づいたカジュが普通サイズだったので、
彼はがっかり。 カジュがまた大きくなってみせたので
喜んで胸にガバッと抱きついておられた姿が可愛らしかったです。

「珍しい動物が好きですか?」とお聞きすると大きく頷いておられました。
将来、船員になり太西洋の大海原を何度も横断する冒険の日々を送る彼ですが、
インナースペースが、いつもこのガリラヤ湖のボートの上なので、少し不思議に思いました。
 
彼の話によりますと、遠くの珍しいものへの憧れる気持ちもあるけれど、
故郷の湖でゆったり風に吹かれながら 空を見上げているこの時間が一番好きなのだそうです。
(この湖が彼の揺り籠です)
 
ガリラヤ湖は、霧が発生しやすかったり風が強かったりと
様々な美しい光景を見せてくれます。
 
背景は「青空か、朝焼けか、夕焼けかどんな光景が良いですか?」とご相談すると
彼は「抜けるような青空」で描いて欲しいとおっしゃいました。