名前 とち(杼)さん  
 
国籍  日本、越後(新潟あたりの海岸)
 
精霊の種類  元人魚で人間と成る
 
時代 鎌倉時代
 
年齢 500歳くらい
 
前世バージョン ○
 
補足
カジュが降り立ったところは、夕暮れの海岸の美しい砂浜でした。
湿って派手さがない感じの空気が日本の海岸を感じさせました。
 
キラキラと海に反射する夕日がどんどん暮れていき、
凪いだ海は静かで、なんの変化もないので(カジュはくるくる踊りながら進んでいましたが)
 
 
 
インナーさんはどこからくるのだろうと、カジュに質問してしてみました。
砂浜が続く陸方面は小高い丘になっており「そこから来るの?」と聞くとフルフルされました。
これは…人間じゃない可能性が高い予感。
 
薄闇の海面に女性の頭が現れました。
海の精霊!人魚!?海から上がってくる女性は、
予想に反して二本の足がありました。
 
ちゃんと海女さんっぽい着物…腰まである長い髪は束ねておらず、
ゆるいウエーブを描いて濡れた体にまとわりついていました。
「海女さん?!人間なのですか?」
 
答えは…「人間じゃない…人魚」だといわれました。
二本足だし、意味が解らず疑いまくっている私に、
指のあいだにある水かきを見せてくださいました。
 
「人間に化けて、暮らしておられるのですか?じゃあ人間のだんな様がいらっしゃるのですか?」
 
いろいろ事情を聞くと、海から見ていた漁師の男性に恋をして、
御伽噺の人魚姫みたいに、お薬を飲み人魚をやめて人間になったということですが…
そのお薬は御伽噺とは違い、声を失ったり、歩いても足は痛くならないものでした。
 
ただ一度飲むと、二度と人魚に戻れません。
彼女はその男性と生きてその時代に人間として亡くなったということでした。
 
人魚でいれば千年、二千年単位で生きられるのに…
すごい決断だなと感心いたしました。
 
人間の感覚でしたら、大変重い人生の選択ですが、
精霊の彼女にっとっては、あっけらかんとしたもので、
自分の選択に一切の後悔や未練はない感じでした。
 
お名前のヒントをお願いしましたら、
糸巻きのようなものを持ってこられました。
 
それは、ただの糸巻きではなく、
織物の横糸を通す糸巻き…杼(ひ)というものであることが解りました。
 
「ひ」さんではないということでしたので、
他の読み方を探し「とち」さんとなりました。
 
女性らしく、黒目がちな色っぽい瞳と唇を持つ彼女なので、
私は初め大人っぽいイメージをもっていました。
 
でも、カジュと楽しそうに砂浜を追いかけっこしていた姿をみて、
そのギャップに驚きました。
 
精霊体を捨てたとはいえ、精霊特有の無邪気で純粋な性質は
そのまま残っていらっしゃるんだなと思いました。
 
その途中カジュが濡れた砂浜に足をとられ、思いっきり転んだのですが
(羽根をついてかばうことも出来ず顔から突っ込みました)
 
彼女が抱き起こして顔や胸についた砂を丁寧に払ってくださいました。
「やさしいな〜。そうだお子さんはいらっしゃったのですか?」と聞くと
「いなかった」とのことでした。
 
その後も、懲りずにおいかけっこを継続していましたが、
カジュがもう一回すっこんろんだので、遊びを泳ぎに切り替えました。
 
海に入った彼女に人魚姿をお願いしてみました。
波間からのぞく尾びれをちらりと見せ、海にぷかぷか浮いて泳ぐカジュと、
近くの岩礁に向かって競争しに行ってしまわれました。
 
再訪時も、とちさんは海で泳いでおられましたが、
その時は人魚姿ではなく、着物を着て泳ぐ海女さん姿でした。
 
カジュと岸壁から飛び降りたりして、楽しそうに遊んでおられました。
食べ物のことをお聞きしてみると
貝類、甲殻類とイカや蛸は食べるけど、お魚は食べず、
あとは大根やお野菜が中心の食生活だったとのことです。
 
生きておられた場所が、越後(新潟)と言われたものの、
あんな寒いところに、人魚がいたのかしらとお調べしてみましたら、
新潟県の雁子浜には人魚伝説があったようです。